ろじかりずむ

好きなんだから仕方ない

「ヴァンパイアはかく語りき」についてとあるヲタクはかく語りき

突然ですが、こちらの曲の歌詞をご覧ください。
ヴァンパイアはかく語りき 加藤シゲアキ/NEWS - 歌詞タイム

一通り目を通しこんな疑問を抱いた方はいらっしゃらないでしょうか。
「何故、『ヴァンパイア』と『バンパイア』が入り混じっているのか?」
そんな細かいところ気にならないって?ただの表記ミスだって?
もう一度リンクで作詞者の方のお名前を確認してください。そう、加藤シゲアキさん。仮にも文章でご飯食べる仕事してる方が、というか毎回ソロ曲や著作に色々な仕掛けを仕込んでくる方がそんな中途半端なことするでしょうか?
表記ミス、というならそもそも歌詞カード作成時に作詞者本人以外の多くの人が校正作業で目を通して「ここ、何で表記ブレてるんですか?」といった話になるはずです。まさか誰も不自然に思わないことなんてあるまい。
その他にもこの曲の歌詞において気になる箇所がいくつかあったので自分なりに考察してみました。毎度お馴染みチラ裏考察です。
何年前の曲だよ!とか他に考察してる人がいるよ!とかのツッコミはひとまず置いておいてくれると嬉しいです。ほらハロウィンも近いしいいよね?(凄い強引にこじつけ)

※以下、前回に引き続き私の勝手な考察や憶測等が含まれますので苦手な方や曲の世界観を壊したくない方はご注意ください。また、この考察は公式とは全くもって関係ないのでご了承下さい。
(前回→今更ながら『Dream catcher/加藤シゲアキ』を語るの巻 - ろじかりずむ
前々回→「ESCORT」について本気だして考えてみた - ろじかりずむ)


まずは、この曲全体のストーリー考察から。

とある所に 愛する女性と暮らす幸せな青年がいました。彼女はまるでサファイアのような輝きを放つそれはそれは美しい女性でした。しかし、ある日突然命を落としてしまいます。
彼はとても悲しみ、亡くなった彼女への想いが断ち切れず絶望に明け暮れて暮らしていましたが、そんな彼の元にとある人物が現れます。
"Hey,men. do u wanna come with me?"
「やあ、青年。俺と一緒に来ないか?」(僕と契約してヴァンパイアになってよ!)
心身ともに弱り、彼女を殺したものへの憎しみばかりが募る青年にとってはそれはそれは甘い囁きでした。そうして彼は「ヴァンパイア」となるのです。
ヴァンパイアとなった彼の目的はただ一つ、そう、ノーベルノーベルがダイナマイトさえ発明しなければ彼女は死ななかったのに!
ノーベルの昔馴染みでもあった彼は、銀の杭をノーベルの胸に打ち込むことで、復讐を達成します。
さて、青年は愛する彼女の無念を晴らす事に成功しました。すべき事は全て終わった。それでも彼は死ぬ事が出来ません。ヴァンパイアだからね!
不老不死の体を手に入れた彼は永遠に「彼女のいない世界で生きる」という絶望を味わいながら生きていくことになってしまいました。

そんな彼の元にある女性が現れます。
「この女性を心から愛したい」けれど「この女性の血が吸いたい」という本能に抗うことも出来ない。
血を吸ったら彼女は死んでしまうし、吸わなかったら自分が死んでしまう。ならば、せめて自分がサファイアのような生涯で一番愛した女性の元には行けないとしても、最後に好きになった女性とくちづけすら交わせないとしても、この生を終えよう。
そう思った彼は、「俺の話じゃないんだけどさ」と前置きをして彼の哀しい生涯について語り始めるのだったーーー。

【映画との関連性】
この曲の歌詞中に「Gary,Johnny,
Tom & Brad」という四人の人物の名前が登場しますが、これらは有名なヴァンパイアをモチーフとした映画の主役を演じた俳優の名前で、この曲自体もこの3作品に何かしらの影響を受けているのではないか?と思いました。

Gary→「ドラキュラ」(1992)
ゲイリー・オールドマン演じるドラキュラ伯爵とウィノナ・ライダー演じるミナのロマンスを中心とした映画。
主人公・ドラキュラ伯爵は愛する妻の死への絶望の末吸血鬼になります。
対する「ヴァンパイアはかく語りき」の主人公も愛する彼女の死への絶望の末ヴァンパイアに。
また、曲ラストで登場する「ヴァンヘルシング」はいわゆるヴァンパイアハンターを指す名詞ですが、この映画の登場人物でドラキュラ伯爵の宿敵である「ヴァン・ヘルシング博士」の名前から取られたものであり、そこも関連性を見出すことが出来ます。

Johnny→「ダーク・シャドウ」(2012)
魔女によってヴァンパイアにされてしまい、家も落ちぶれてしまったトム演じるバーナバス・コリンズによる復興劇。
しかし、2012年5月19日公開であるこの映画を2012年7月18日発売の曲の歌詞に踏み込むか?という疑問もあるのでひょっとしたら「Johnny」という名前だけの登場であまり物語との関連性は無いような気がします。(この作品はあいにく未視聴なので見たらまた自分なりに考察します。すいません)

Tom&Brad→「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(1994)
ブラッド・ピット演じるルイによって語られる彼の200年の半生の物語。
語り形式、愛する人を失った絶望とヴァンパイアとの契約、ヴァンパイアとして生きることへの躊躇い....この作品が一番モチーフとしては近いような気がします。
また、愛する者が太陽に焼かれることで死ぬ事、復讐劇.....どのモチーフもヴァンパイア物としては王道って言ったら王道すぎるテーマですが類似性を感じます。

ノーベルについて】

主人公の同級生に1866年ダイナマイトを開発した男、つまりノーベルがいます。
ノーベルが生まれたのは1833年、よってダイナマイトが完成した時ノーベルは33歳いう計算になります。だけど、彼は永遠の25歳。何故って?ノーベルはバンパイアだからさ!
だから、永遠の命を持つノーベルを殺すには銀の杭を彼の胸に打ち込むしか無かったのです。
(ヴァンパイアを殺すには、銀のナイフや聖水、銀の杭を胸に打ち込むといった方法が有名ですね!)

しかし、ノーベルとヴァンパイアが関係ある、と言ったような過去文献や言い伝え、映画は私が探した範囲では見つけることが出来ませんでした。もしあったら誰か教えて頂けたらとても嬉しいです。
だから、ノーベルがヴァンパイアである設定は「恋人がダイナマイトで死んだ」ことに対する復讐の理由付けと、目には目を、歯には歯を、ヴァンパイアを殺すにはヴァンパイアをということで主人公がヴァンパイア、と決まった時点で作られたのかなぁと推測します。

また、冒頭で述べた「バンパイア」と「ヴァンパイア」「バンパイア」という表現は、男の宿敵「ノーベル」についての記述に、「ヴァンパイア」という表現はその主人公についての記述に用いられていることに気づきました。だからタイトルは「ヴァンパイア」。なるほど、宿敵・ノーベルとの差別化だった、と考えるのが自然かもしれません。完全なる推測ですが、「あの憎き男への復讐を誓って彼女の為にこの身を得たのに、結局は自分もノーベルも同じように私利の為に悪魔と契約した醜き存在であるということを認めたくない」という語り部の葛藤や抵抗が読み取れました。(まあ、実際曲で聴く分には同じなのですが)

余談ですがこの曲が発表された時の加藤さんは25歳、だからコンサートでこの曲を披露した彼もDVDの中では永遠の25歳!


【細かいストーリー考察】

Star saphire

サファイアの中でもルチルを含んだ表面にアスタリスクのような六条が現れる宝石。
サファイアの石言葉は「信頼」「貞操」「慈愛」「霊魂の鎮静」「賢明」「冷静」まさに理想の女性像、といったところでしょうか。そんな彼女の死によって彼から冷静さや理性が失われて激情のまま復讐に走ってしまった、いわば彼の感情のストッパーは彼女そのものでsaphireはその暗喩では無いか?と考えました。

ヴァンヘルシング? まさか君が…そうだったのか 
騙されたな 愛の罠 物語のエピローグ

歌詞のラスト、ストーリーのラストです。この話を語っていた「君」が宿敵・ヴァンヘルシングだと知ってなお、抵抗せず自らの負けを認めたかのような終焉を迎えます。
「愛」ゆえ?「愛してた君なら騙されてても本望さ」?そう捉えることも出来ますが、あまりにも落ち着きすぎでは無いか?
そこで私は「愛の」と「I know」で掛けているのでは無いかと推測しました。
"I know罠"君がヴァンヘルシングだと知っていたけれど、知っていたからこそ君のその手でこの生を終わらせて欲しい、そんな思いを彼は抱いていたのではないでしょうか?
ちょっと無理やりすぎるかなーー!??でもこう捉えるのも面白くない?という一つの仮説です。

ヴァンパイアらしく生きられるほど簡単じゃない

悪魔の誘惑

物語の主人公はヴァンパイアではあるものの、ヴァンパイアであることに抵抗心があることが読み取れます。自分自身と同じ存在なのに契約したヴァンパイアを「悪魔」と呼び、ノーベルを「バンパイア」と呼ぶ。
「君」が好きだけれど、「俺」がヴァンパイアだからと言って「君」を簡単に噛み殺したくないーー。
まさにインタビュー・ウィズ・ヴァンパイアで良心を捨てきれず人の血が吸えないルイみたい!
とはいえ、「その男、凶暴につき」という記述があるので「君」以外の血は普通に吸うのでは?「君」に出会った事で「star saphire」の彼女を愛していた頃のような冷静さを取り戻したのでは?と解釈しました。

"欲望こそ俺のアイデンティティ"
"本当はこの心臓(こころ)でちゃんと愛したい"

"I wanna love u but bite u"
"Give me your blood"
(貴方の事を愛したいけれど、貴方の血が欲しい)

人間の様に「君」を心から愛したいけれど、本能は「君の血」を求めている。「君」と甘いくちづけを交わし愛し合いたいけれど、本能はそれを許さずきっと「君」を傷付けてしまう。
そんな葛藤を抱え、彼は死を望むのでは無いでしょうか。「君」への想いが叶わないならばいっそ灰になってしまいたいーーー。
ラストシーンの

Here comes the sun...
Here comes the sun...
Give me your blood

も、そんな彼女を愛せない自分なぞいらない、やっと死ねるのだという人間としての彼の哀しい喜びと、彼女の血が吸いたいというヴァンパイアとしての彼の本能が拮抗してる感じがして面白いなぁと思います。

とまあこんな感じでこの曲について自分なりに考えたことを書き連ねてみました。この曲、というか彼の歌詞や作品はみな「読む人、聞く人に様々な解釈」を与えるのも一つの狙いとて書かれている様に思えるので解釈違いだからと言って殴らないでくれると嬉しい。100人いれば100通りの解釈があると思うんだ。もし「私はこういう風に思うんだけどな!」っていうのがある人がいらっしゃいましたらTwitterのリプライなりコメント欄、askに送って頂けたらありがたいです。っていうか他の人の考察が読みたい!!ドリキャとかESCORTとかどうしてあんなに考察記事少ないんだ!読ませろ!!!

また、この記事をきっかけに「ヴァンパイアはかく語りき」という曲に、そして加藤シゲアキさんに興味を持ったという方がいらっしゃいましたら是非曲自体を聴いて、パフォーマンスをご覧になって頂けたらもっとこの楽曲を楽しめるかと思いますので是非!↓

チャンカパーナ(初回盤E)

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