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ろじかりずむ

好きなんだから仕方ない

中学2年生の夏に「シン・ゴジラ」を見たかった

この夏を生きる中学生が羨ましい。
彼らの夏休みにはポケモンGOシン・ゴジラも有るのだから。
中学生がスマートフォンを所持しているか否かという点においてはアプリケーションである「ポケモンGO」は彼らの対象では無いのかもしれないが、「ゲームの中の空想の生き物"ポケモン"が自分たちの住む世界にいる」という疑似体験はまるでおとぎ話のような不思議な体験であり、ポケモンを知る誰もが胸を踊らせる。部活帰りのグラウンド、塾への道。おばあちゃんの家や慣れ親しんだスーパーマーケット。どこにだってポケモンは居るのだ。凄い時代になったものだ。
しかし私のように偏屈な人間や、スマートフォンを持っていない子供たちは「ポケモンGO」で遊ぶことは無いし、老若男女楽しめるシステムとはいえ「大人になってからの方が楽しい」といった側面もある。
ゴジラは別だ。私はこの映画をもっと幼く多感な時期に見たかった。鑑賞後に「ゴジラ怖かったね」「本当にいるわけないじゃん!」「それはそうだけど、ところでアイス食べて帰らない?」なんて、何の変哲も無い会話をしながらも密かにこの映画に影響されたかった。人生を滅茶苦茶にされたかった。
「うわあ!さすが私たちの庵野秀明!ところでシンエヴァマダーーー?」なんて穿った感想を持たずに、まっさらな私をこの映画の色に染めて欲しかった、なんてそんな柄にも無いことを思う。
目をきらきらとさせながら画面をじっと凝視していた隣の少年たちが羨ましい。君たちの見ている世界を私にも少し見せてくれないか。

シン・ゴジラ」を観てきました。(※ネタバレなしのはず)
平日の真昼間お一人様4DX。わー!贅沢!バチが当たりそう!世の中の皆様が働いている中、暇を持て余して映画館に足を運んでみたら偶然4DXの設備がある映画館だったので、マッドマックスのリバイバル上映の時に体験して楽しかった4DXの作品を見たい、と4DXを体験するために4DX付きの上映を選んだら「シン・ゴジラ」だった、それだけです。
監督目当てとかストーリー目当てとか俳優目当てとかですら無い軽率さ。
実は「ゴジラ」ちゃんと見たこと無いから怪獣(?)が来ることしかわからない。
一回だけ見たことある気がするけれど、なんか蝶みたいな奴と戦ってたからスピンオフみたいな話かも。とにかくロクな知識が無い状態で鑑賞。

ゴジラ、こんなに楽しいなんて何でみんな教えてくれなかったの?

従来の「ゴジラ」がどんな話かはわかりかねるのだが、「シン・ゴジラ」は政府対ゴジラの話である。キャッチコピーの「現実(日本)対虚構(ゴジラ)」が言い得て妙だと感じた。
政府の話、ということで序盤はとにかく会議のシーンが多い。これがまた「会議は踊る」って感じでテンポこそいいんだけど、なかなか進まない。会議してもしなくても一緒じゃん!ってツッコミたくなる気持ちと同時にこの会議をもっと見たいという想いが芽生える。
官僚の皆様、ほぼモブのような扱いなのにそれぞれがキャラクターを確立していて見ていて飽きない。会議シーン足りないよ!あと3時間ぐらい会議してくれ!
有識者対談のシーンで犬童一心監督、原一男監督、緒方明監督が出演してるの、最高にキャスティング費の無駄遣いなんだけどなんで許可してくれたの?!思わず笑ってしまったではないか。こういう「なんでこんなモブを主役級の俳優(著名人)が!?」案件がところどころにあって、「ウォーリーを探せ」のようで楽しかった。小出恵介さんや片桐はいりさんは一発で気づいたけど、前田敦子さんや斎藤工さんまで居るなんて....!もはやモブ特定の為にもう一回見たい。

序盤で巨大不明生物と呼ばれているカメのような生き物は、私の知っているゴジラでは無いので、「a〜ha?コレとゴジラが戦うのねおけおけ」ってテンションで構えてたらそれがゴジラだったというオチ。
ゴジラって進化するんやな.....ポケモンみたいや........
それにしても第一形態(カメ)のゴジラは目がイっちゃってるし容赦なく踏み潰してくるしで1番怖かったです。ゴジラが動くたびに座席も揺れるから怖かった。
会議は踊るからこんな恐ろしいヤツが東京を壊し始めても中々決が出ないんですよ!THE 日本!って感じ。庵野監督はここら辺皮肉りたかったんですかね???

進まない会議に反して、どんどんと猛威を振るうゴジラ。まずは保身な政府ととにかくゴジラを倒したい国民第一の谷口。
矢沢が主人公だからかな、谷口のチームの人間以外の政府が皆脳無しに見えてくる演出。矢沢を格好良く描きすぎじゃありませんか監督!?
って疑念が出るくらい巨災対は素晴らしいチームでありました。私は市川実日子さん演じるヒロミが好きです。敵に向かって主人公の右腕的存在として補佐する彼女こそが真のヒロインなのでは無いでしょうか。

本来のヒロイン、石原さとみさんもよかったよ!芯の強さはヒロインに欠かせないものです。個人的に「新世紀エヴァンゲリオン」の「葛城ミサト」さんに似ているなあと思いました。ミサトさんのような女性が好きな方には是非オススメしたい作品です。
あと石原さんの「ガッズィラ」っていう発音が好き。

この映画の何が好きって一切無駄な要素が無く、本当に「対ゴジラ」のみに焦点が当てられている、ということです。
石原さんと長谷川さんがゴジラが来てるにも関わらず惚れた腫れただのゴジラが居なくなった世界で幸せなキスを交わしエンディングだの無駄でチープな恋愛要素を入れてこない点が推せるし、きっと人情ドラマも裏では交わされてるのだろうけど本筋と関係無いから一切入れ込んで来ないのが本当に物語に集中できるし、気が散らないいい作りだと思う。
恋愛や友情を否定したいわけではないけれど泉ちゃんと矢口さんの「俺の屍を超えていけ」的やりとりがあったり、石原さんと「絶対に2人で生き残ろうな><はゎ><」みたいなやりとりがあったらこの作品はダレるのだ。この集中感が快適だった。

また、冒頭にも述べたように中学生の時に見て、メッセージ性を感じ取りたかった。ゴジラ、意外と深いテーマが秘められているのである。ただ怪獣が意味も無く人間を襲うのではなく、そこにはゴジラ自身のやるせない気持ちや哀愁を感じた。
本当に何も先入観のない状態で見たかった。それゆえの恐怖だったり畏怖だったりをずっと抱えて生きたかった。
ただ「面白かった!」でもいい。楽しい思い出と少しの恐怖とほんの少しの気づき、それが大事だ。中学2年生の夏は「シン・ゴジラ」見たっけ、確かあんな話だったな、って後々私のような年になってから振り返れるのが羨ましい。

シン・ゴジラ」を見終えて暑さの残る道を歩いて帰路につきながら、さながら童心に帰った気分になった。「ゴジラ怖いね」「本当に来たらどうしよっか」「来るわけないじゃん」「仮によ、仮に」「作り物だよ」子供の話し声が頭の中で楽しげに鳴り響く。怪物の激吼が遠くで聞こえた気がした。